だいじょうぶ、あなたが眠るまでずっと起きてる。

ラズエルは 本だなを 調べた!
なんと 本のページに キメラのつばさ がはさまっていた!
ラズエルは キメラのつばさ を ふくろに入れた。


大変今更であるのだが、DSのドラゴンクエスト5をやっていた。
今はサラボナで、フローラの結婚相手探しイベントをしてるところです。
お金持ちのルドマンが、娘であるフローラとの結婚の条件として、「ほのおのリング」と「みずのリング」を取ってくることを男たちに要求します。


(*'-') 私のために そんな危険なことをしないでください!


と言っていたフローラも、主人公が結婚相手候補として出席しているのを見つけ、


(*'-') あら あなたも 私と 結婚を……?


なんて満更でもない感じで制止をやめてしまいます。ひどいやつだ(`д´)




ルドマンの家で本棚を調べたところ、ラズエルが取り出した本のページにはキメラのつばさがはさまっていた。
ぼくはそれは栞か何かだろうと思った。
小説か、図鑑か、分身であるラズエルが何の本を手に取ったのかぼくにはわからないけれど、
キメラのつばさ(一度行ったことのある場所に飛んでいける)を栞として挟むなんてけっこう情緒的だ。
そしてラズエルはそれを何のためらいもなく道具袋に入れてしまったので、鬼か悪魔みたいなヤツだと思う。

違う生き物。

彼女は僕の顔を見て、「酷い顔をしてる」、と言った。
話す気分じゃないんだ、と僕は言った。「決して君が悪いわけじゃなくて、でも、話す気分じゃない」
彼女は眉をひそめた。「なにがどうあって、そんな顔をしてるのかは知らないけど、あなたが今酷い顔をしてるのは事実よ。私があなたを心配しているんじゃなくて、あなたが私を心配させているの。勘違いしないで」
彼女の声色は冷たかった。
僕はため息を吐いた。沈黙でやりすごせない。何かを話すしかない空気だった。
「これは行動じゃない。自分じゃどうにも出来ない。象は歩けば虫が潰れるし、木は育てば陰が出来る。それは全部仕方ないことで、僕のはそういった類のものと同じなんだ。象は歩かずにはごはんを食べることができないし、木も背が高くなきゃ日光を浴びられない。同じことで、僕も悲しい顔でもしてなきゃまともに生きていけない。それは全部仕方のないことなんだ。生き物としての生態」
生態、と彼女は口に出した。
「それは、私達の相性は最悪ってこと? つまり、生まれついての、生き物としての相性」
「そうかもしれない。巧く言えないけど、僕と君は戦場で殺し合おうがバーで語り合おうが結局は同じことで、ただ相性が悪いということだけが残る。そこには友情や愛情の一片もないし、ロマンもポエムもない。性格とかじゃなくて、生態上の相性。生まれついての」
彼女は僕の話の合間にタバコをくわえた。僕は吸わないから銘柄はわからない。わかるのは、僕は吸わなくて、彼女は吸うということ。やっぱり相性が悪い。
映画じゃないんだ、と僕は言った。
映画じゃないんだ、と彼女は繰り返した。「そうね。映画の中で出逢ったなら、もっと2人にはマシな配役があったかもしれない。例えば、王女と羊飼い」
僕を羊飼いにする辺り、やはり僕にとって彼女は嫌な女だし、僕を羊飼いにするということは、彼女も僕をその程度に見ているということなのだろう。
実際のところ、彼女は僕に良くしてくれる。頼めば昨日僕がサボった授業のノートも見せてくれるかもしれない。しかしそれは決して彼女の行動ではない。生態。彼女が僕に優しいのは、彼女にはどうしようもないことなのだ。彼女は悪くない。彼女は悪くないのだ、と僕はベッドの中で繰り返す。

ピピピ

(*'-') うーん

(´_`) こんな遅くに窓開けて何してるの?

(*'-') 電波を送ってるの

(´_`) 電波?

(*'-') そう、遠い星に、迎えにきてーって

(;´д`) …それ本気で言ってるの?

(*'-') あ、バカにしてるー

開け放した窓から入り込んだ夜の風が彼女の髪を抜けていった。
(窓の外からはどこかの家のテレビの音が聞こえている。)

(*'-') ねえ、行く途中でイギリスに寄ってもらえるかな? どう思う?

(´_`) 知らないけど、頼んでみたら?

(*'-') あら、投げやりな人だ

僕は彼女を馬鹿にしたわけじゃなかった。
ただ、僕らは宇宙よりもずっと遠い心の距離のことを知っていて、
ピピピと思いを飛ばすにはあまりにも大人すぎた。

(´_`) ぬいぐるみはどうするの?

(*'-') ぽんたのこと?

(´_`) そう、それ。

(*'-') もちろん連れてくよ。

(´_`) 僕は?

(*'-') どうしようかなー

(´_`) えー

悪戯っぽく口元を歪ませる彼女の肩を抱き寄せて額を合わせる。
ピピピと呟くと、一瞬不思議そうな顔をして、それからウフフと笑った。